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「開眼供養(魂入れ・お性根入れ)」について

お墓を建立すること、仏壇に仏さまをお迎えする、
亡くなった方のお位牌を作る、法事や彼岸の時にお塔婆をお願いする、
仏さまの掛け軸をお迎えする、お守り、御札、念珠(お数珠)など、
皆さまは色んな場面で「お性根入れ」「魂入れ」「開眼(かいげん)」をお願いされることと思います。
対して、仏壇を動かしたり、仏さまを修善、お墓をさわる、古い御札やお守りのお焚(た)き上げをする時には
「お性根抜き」「魂抜き」「撥遣(はっけん)」をお願いされているでしょう。

これら仏教の専門用語では「開眼」と「撥遣」と呼びます。文献史料から確認できてはいませんが、それがどうも江戸後期頃には開眼が性根入れという言葉でも同義とされ始めたようです。 ただ私は性根という言葉がひっかかります…、性根とは一体全体何でしょうか。
辞書では、「物事をなそうとするときの土台になる心のありよう(三省堂国語辞典)。」
「①根本的な心の持ち方。②正気(しょうき)。③物事の根本のところ。かなめ。(広辞苑)」と解説しています。
つまり性根とは「物事の本質・根本」をいいます。
では例えば、物や道具に性根を入れて神仏とするならば、道具の本質に神仏の本質を入れ込むという意味になるでしょう。 同じく魂入れも、道具へ神仏の魂を入れるという意味になるでしょう。

ただ実は密教においては、このような解釈ではありません。
一言で説明すれば、仏さまは入れるものではなく、顕現させるものだからです。
密教の視点からみれば、そもそも すべて存在は如来の働き、誓願のお姿であると観ることができますし、気付くことができます。それを気付いている、修行と相伝を終えた阿闍梨が、また師匠から口伝で習った作法をもって開眼供養を行うのです。これは秘密の印と真言をもって行うので「理の開眼」といいます。
一方、「事の開眼」があります。日本の初例では『日本書紀』天智十年(671)には「内裏にて百仏の眼を開く」とあり、『元亨釈書』には持統十一年(697)薬師寺にて開眼供養を行った記録があります。有名なのは天平勝宝四年(752)の東大寺大仏開眼供養でしょう。この時の導師は南インドで生まれて、天平八年(736)に訪日したボーディセーナ(菩提僊那)が大導師となりました。
菩提僧正が大仏さまの前に進み、筆に綱を結び、人々がその綱に触れて結縁した様子が記録されます。菩提僧正は華厳経だけでなく密呪にも通じていたと言われますから、この時にも理の開眼があったやもしれません。顕教のお寺さまの多くが筆をもって開眼されるのはこれに習っています。いずれにしても仏像開眼の典拠はウスサマ明王、一切如来安像三昧儀軌などの密教の経典にあります。

次に眼に五つあるお話。少し専門的になりますが、
迷いの心を断つ 「肉眼」
一切の衆生に皆仏性があることを見る 「天眼」
痴心(迷いの心)が起こらないこと 「慧眼」
法への執着を離れること 「法眼」
細かな惑いを永く尽くし、円満に明らかで、遍く照らすこと 「仏眼」といいます。
仏さま方はこの五眼をそなえていらっしゃいます。

さて、これからの時代、AIロボットにも開眼をする日が訪れると思っています。
慈悲をそなえた智恵と提案(方便)ができるロボットたちになるように祈ります。
またお坊さんが開眼供養で読み上げる言葉があるように、大切な事項(慈しみのある働きをする為の約束事)をプログラミングする儀式があるのも良いと思います。

そうやってロボットたちに仏性を顕現する儀礼を行い、
開眼供養されたロボットたちと共に生きる時代が訪れ、
また役目を終えたロボットに対して弔いの供養を行います。
開眼と撥遣はセットです。魂入れをしたら、魂抜きを行うものです。

今日の日まで、共に過ごして、働いてくれたことを思い返せば自然と、供養をしたい。せめて供養させて欲しいという心が起きるものです。これは時代や文化がいくら変わろうと同じことに思います。 お寺では ご先祖さまの供養、動物の供養、人形供養、筆供養、針供養など、さまざま行っています。
人間として、親先祖の供養を忘れた民族・国は滅びる。そのように思います。
また私たち日本人は 動物や生き物に限らず、道具や樹木に対しても供養の念を持って来ました。忘れてはならない恩に報いる、報恩の念。
大切にいたしましょう。

令和七年十一月二十一日
毎週日曜 朝6時「勤行・お茶」。 第二は福山霊苑。
22日(土)「三宝荒神供」20時
12月
7日(日)「水子供養/地蔵護摩」10時
8日(月)「針供養」10時
9日(火)「宥善和尚 七回忌」20時
20日(土)「(備後い草の)しめ縄作り」13時~
「大黒天」23時~
21日(日)「しまい弘法 護摩」10時~ ※夜回は無し
「佛名会」13時~
26日(金)「弁才天 護摩」20時
大晦日「水行 (一年の禊ぎ祓い) 」23時~
元旦「神祇法楽」0時
「初詣特別祈祷」9時半~15時(30分毎)
4日(日)「箕島新八十八ヶ所」朝8時~

広島県福山市箕島町474-3
石鎚山真言宗 弘元寺

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