最新情報

「”間(Awai)に生きている”のを感じて」(2)

8月、日本は戦後80年の節目を迎え、特にお盆の期間中はテレビやネット上で様々な特集が組まれていたように思います。感覚的なことですが戦争体験、歴史、平和に関する話題は戦後70年の節目よりもトーンダウンしたように感じました。またどちらか一方に善、悪があるかのような偏向報道が未だになされていることは残念に思いました。
いずれにしても私たち多くの戦後生まれは、文字や映像だけで知識的に戦争を知り、それで全てを知っているかのように錯覚しています。マンダラの教えのように羅網的に、個と個、出来事と出来事、全てが相互に影響し合い、繋がっていると捉え、そして人間らしく体と頭と心のすべてで知ろうとするべきでしょう。

私たちは全く戦後を迎えていません。
世界では戦争、紛争、内乱があちこちで收まりません。

昨日、コンゴ民主共和国の友人の訃報が届きました。
彼のことを少し話したいと思います。彼はゴリラ保護に関する研究者であり、ゴリラの悲しみ、感情について私は彼から教わり、わずか半年前には夕食を共にしました。ルワンダ国境にあるイジュウィ島で生まれ、祖母に聞かされた物語や子守歌から、5歳の頃には、自然と共に生き、自然を守ることに人生を捧げたいと既に決意していました。コンゴでは、人が道端で死んでいる光景は当たり前のことであり、人が殺されるのも、いつものこと。不思議でも怖いことでもない。日本に暮らしていると分からないかも知れないが普通のこと(当たり前)なんだ、と彼は話していました。
それでも今年の1月、村に武装勢力が接近しているという情報を得ては、彼が家族と何度も連絡を取っているのを目の当たりにしました。この時、700人、また1,000人以上が亡くなられています。31年前のルワンダ大虐殺では暴力、病気、飢えのために10年で540万人が亡くなられています。数に表れてこない、身・心・性的な暴力はどれくらいかも想像できません。
ここで気をつけたいのは数字に置き換えた瞬間に私たちはリアリズムを失いがちであるということです。数字だけで理解して、現場で起こる(起きた)現実を知った気になってしまいがちです。更に受けた恐怖・喪失、心の傷はずっと残るものです。それは紛争地に限らず、平和であると言われる日本であっても見られるもので、ふとした言葉でさえ、年を経ても心の傷として長く残ります。

だからこそ私は、世界の子供達の日常生活が豊かに守られていることを常に願っています。幼少体験は人間の一生を形成します。虐殺やひどい暴力を目の当たりにせず、叫び声、血のにおい、泥水や喉の渇き、飢えに痛まされることが無いよう、人が人(他者・生命)を生かすことが当たり前の世界へ進化を遂げられることを常に祈っています。
奪い、搾取することを競う経済ではなく、与え、助け合うことを競う経済に。大人の欲望を洗い清めて、すべての子供たちの未来を照らす行為がこの貨幣経済の交換価値(価値尺度)の基準となるように。

コンゴの紛争はスマートフォン、パソコンに不可欠であるレアメタル(希少金属)の利権が根底にあり、国が正常に機能しないことで利益を得られる、つまり得をする国か人間か組織かが現地の安寧を阻んでいます。私はこの利権の更に基礎をなすのが貨幣経済の価値尺度だと思っています。国や地域の経済構造、制度が近い未来に大転換できるように。思想、宗教、哲学、科学の土台となるものが分け与え・生かし合いとなりますように。

彼が亡くなった理由はカフジ・ビエガ国立公園の森の中、急な病気の悪化とのことでした。アフリカでは満足に治療を得られる病院が少なく、治る病気も治らず、貧困・栄養失調・紛争などで平均寿命は短い。ただ彼がわずか5歳で志した決意は天命のもと全うされたと心から思います。

今日の万灯会、送り火では家族やご先祖だけでなく、世界中の生命のために祈りを捧げて欲しいと思います。

近年、祈りの力は科学的に実証され始め、祈りを信じない人間の方が非科学的な生き方をしている人と言えるようになってきました。祈りの力は私たちが単純に考える空間的な距離を超越します。遠くの人、過去や未来に祈りは波の響きのように向かっていきます。神仏とご先祖と自分の祈りの波に、私の体と行為を上手く乗せましょう。
「祈りの波乗りをして生きる」「静寂な海にそっと座る」。
この2つは仏の利益(りやく)の波と、無上涅槃の静けさ・菩提の目覚めであり、バランスがとても大事なものです。小我を離れ、業(カルマ)を断ち切り、静かな瞑想を行うと、空間は時間と密接で共に在ることを体験します。

続きはまた来月・・・

結びに彼の言葉を引用したいと思います。
「地域の人々を巻き込んでください。
あなたのビジョンを継続してください。
それは大きな影響を与えることができます。
人間と動物と自然とが調和して暮らす世界を。」

令和七年八月二十一日

毎週日曜 朝6時「勤行・お茶」。
第二日曜日は福山霊苑。

22日(金)「大黒天 浴餅供・一時千座法」23時

9月
3日(水)「毘沙門天」 朝6時
7日(日)「滝修行」朝5時出発 6時現地
「水子供養/地蔵護摩」10時~
21日(日)「御縁日の護摩」10時~ ※20時無し
23日(秋分の日)「お彼岸の合同供養祭」
10時 弘元寺「法話・供養」
10時45分頃 福山霊苑

関連記事