「外国人の弟子が修行しています」
先月予告の「御布施について③」の法話はまた来月に・・・。
これまで彼の修行の妨げになってはいけないと思い、公表していなかったのですが、彼にまつわるお話を紹介したいと思います。
タイトルの通り、アメリカ人の弟子が今修行をしています。北欧の海賊にルーツを持つ彼は、子供の頃はとてもいたずら好きだったようです。頭脳明晰で、大学は法学部を首席で卒業しています。でも法律関係の仕事を選ばず、いま真言宗のお坊さんの修行をしています。
許される範囲でお話すれば、ある事がきっかけで彼は仏教に出会いました。家の近くに台湾の僧侶がいたこともあり、とても悩んでいた時、仏教の教えを訊き、彼は「これだ!」と思ったそうです。教えに納得し、感動した彼はどんどん仏教が好きになりました。遂には台湾のお寺で出家得度し、修行を始めました。
そしてある時、台湾人の僧侶から、「君は密教の教えが向いている」と言われ、チベットをはじめ密教の教えについて学び始めました。そして彼は英語に翻訳された弘法大師の教えに初めて出合ったのです。
彼は感動して涙が流れました。チベット密教に関わるものは沢山英語に翻訳されています。しかし日本の密教の教えはまったくと言ってよいほど、ほとんど英語に翻訳されていません。海外から見れば日本の密教の門は堅く閉ざされたものとして映るそうです。それでも彼は日本の弘法大師の教えを英文で読むことができました。彼は弘法大師の『秘蔵宝鑰』という書物の真理に触れて、涙が溢れたのです。
皆さまは教えに触れて涙がこぼれた経験などございますか?。きっと彼は前世から密教に縁があり、修行していたのでしょう。その証拠に彼は修行が進むにつれて、
「やった!やっと出会えた!」と懐かしい気持ちと共に、心に大きな喜びが起きるそうです。
癒やしという言葉がありますが、多くの方はこの言葉を誤解されているのでは無いでしょうか。それは「癒やし」というのは外に求めて得るものでは無いこと。本質的な癒やしは自分の内側から起こるもの。自分の内側のどこからともなく込み上げてくるものです。外から、何かの条件をもって得るものが本当の癒やしでは無いのです。
例えばムシャクシャして他人に当たる。あなたは必ずしも他人に当たらなくても、自分の呼吸を調え、姿勢を正し、両の手を合わせて心を静めれば、いつのまにかムシャクシャは無くなっているはずです。
例えば「さみしい」。深い祈りを学べば、自分は孤独ではなく、すべての生命、自然のあらゆる存在と繋がり生きていることを体験できます。相手が悪いと思う前に、ちゃんと自分と向き合えば解決できることが沢山あります。誰かが癒やしてくれることも大切。それと同時に自分の内側にも自分を癒やす力が備わっていることに気付くこと。それが重要なのです。これを仏心と言います。
弘法大師は師の恵果和尚に出合い、「曼荼羅の世界に入り」、この力が大日如来(摩訶毘盧遮那如来)の願いと修行の御力であると体験、直感されました。
6月末、アメリカ人の弟子もいよいよ護摩の修行を終えて、最後の曼荼羅世界に入る儀式に辿り着きます。来月はお祈りの行事が多くなりますが、彼のように新たにご縁を結んでいただける方がありますように願っています。自分の内側にずっといる仏さまに出会えるご縁にどうぞ足をお運びください。
令和五年五月二十一日
《6、7月ご修行案内》
3日(土)「毘沙門天」朝5時
4日(日)「滝修行」朝5時お寺出発
「水子供養・護摩」10時~
※18日(日)「放生会」10時~
海の生き物「貝、エビ、魚」などを大切にお持ちください。授戒し、経を聞かせて海に放します。
21日(水)「大師御縁日 護摩」10時~、20時~
29日(木)「伝法潅頂」※非公開
※30日(金)「結縁潅頂(金剛界)」午後から20名
7月1日(土)「結縁潅頂(金剛界)」限定80名
2日(日)「水子さま結縁潅頂(水子供養)」9時~
毎月の水子供養は9時より、結縁潅頂の儀式に随って、水子さまのご供養をいたします。いつものようにお参りください。
10日(日)「弁財天 護摩」20時
16日(日)「霊峰 石鎚山入峯修行」「本山石鎚大権現さま御開帳の護摩」
本山極楽寺へ朝7時30分に現地集合 詳しくはホームページ、別紙にて
30日(日)「うり封じ(胡瓜加持)」10時・20時の二度護摩を焚きます。
祈祷キュウリを受け取り、壇巡りしてください。
※29日晩に祈祷をしますので、申込は7月26日までにお願いします。祈祷のみの申込も可能です。
詳しくはホームページや別紙にて確認ください