十一月十九日、岡山の安住院にて『仁王経』の法会がありました。
真言宗には流派というものがあり、三宝院流、西院流、勧修寺流に従って三度のお祈りが行われました。私(泰教)は白色の衣、袈裟を着て護摩を焚き、天皇陛下の御即位に際するお祈り、国家安寧、そして人々の平穏と、悪業の消滅と、国が乱れず、新型コロナ(疫病)の消除を祈願しました。
そもそも、「真言宗の「法」乱れれば国が乱れる」と昔からよく言われるもので、ここでの法は正月八日から行われる京都東寺の後七日御修法を多く意味します。
なので真言宗のお坊さんたちの中では、災害が起きたりすれば、「お坊さんがちゃんと拝めて無いんじゃないか?もっと拝まないといけないな」と必ず口にされるものです。
僧侶は毎日、常に、ずっと、人々の幸い、国の安寧を祈っている。よってそれが足りていないという事になる。ですから奈良時代からどの時代でもお寺・僧侶は国や貴族、武士、時の有力者たちからいつも保護され、その祈りが護られてきました。
特に密教は、佛教の中でも処方箋を出す「法」を持っているので、護摩を始めとし、様々な佛を本尊として直接的に、具体的な願いを叶える為に加持祈祷を行います。お坊さんは、あなたのただ死後の安寧を祈るだけでは無いのです。
間違いがないように説明を加えておきますが、佛教の真実の「法」がまず尊い。それを説かれた「佛」は尊い。教えを実践する「僧侶たち」も尊い。これを仏法僧の三宝と言い、佛教を信じる者、まず一番大切にするものです。普通には、佛とは真理を説かれたお釈迦さまのこと。法とはお釈迦さまの説かれた真理の教えを言う。
インドの天、日本の神々、龍神たちはこの真理の法によって救われる(壽命が延びる等)ので、佛教、経典を護り、真理の法を持つ密教僧を特に護ると言うのです。
先日のお寺で行われた『大般若経』の転読法会も「空」の真理が説かれ、迷える衆生、神々が救われるので天の住人も法会に集まって来ます。尊い法の説法には諸佛菩薩が必ず集まる。
お坊さんが偉いのではなく、法がやはり尊く、法が尊いからそれを学び、護持するお坊さんが尊くなるのです。
『仁王経』も般若(真理)の法が説かれているから尊い。そしてこれを読んだり、持ったり、説明を聞いたりすると国が穏やかになると説かれます。また天変地異や疫病流行にも祈られることから、東日本大震災の時、仁王経の御真言「あらだい きゃらだい…」を唱えてくださいとお願いしました。
他にも天皇即位儀礼の一代一講仁王会というものも存在します。外国からの脅威を鎮める力もあります。
いつも真理は迷った私たちの妄見を改めるのです。東寺の講堂「立体マンダラ」は仁王経に基づくもの。お大師さまは密教の法によって国の安寧を祈ったのです。
令和二年十一月二十一日
《御礼》
「大般若経六百巻転読」を修行した入佛記念法要の十一日間はとても清々しい日々であり、諸佛神祇の来臨影向する中で、皆様の各願成就を祈祷をさせていただけましたことは有りがたく、嬉しくありました。
重ねて祈祷申出、お寺参詣の皆さまの 悪業障難が悉く消滅し、天命を完遂し、出生のお役目、課題が成就するようお祈り申し上げます。 感謝 九拝
《おしらせ》
『宥善和尚』一周忌法要 十二月六(日)14時~
Facebook、オンラインライブより参加ください。