以前にも病気についてお話をしたことがあると思います。
病気の発動について、時間軸をもって考えると、
今世に原因があるものと、
過去世から持ち越した業(カルマ)によるもの と大きく二つに分けて知ることができる。
もちろん今は過去の延長線上にあるのだから、いま起きること(一つの結果)が独立して存在することなどあり得ない。 ただ前世があるかどうかについて、
「それは理解しがたい」と言われる方があれば、
前世があると考えるのと、死んだら終わりだと考えるのと、そのどちらが賢いのかと、ちょっと考えてみてはどうだろう。
ちなみにお経には身体の病は404、心の病は84000(無限数)あるという。
病気の原因は大きく三つ。
①地(ち)水(すい)火(か)風(ふう)の四大(しだい)不調
②鬼神
③業(カルマ)の報いによると説く。
また四大の病は医者に治せるのだが
鬼病(きびょう)・業(ごう)(無明(むみょう))によるものは医者に治せないものとして分類される。
では
【四大】を医学に沿って一例にして表記すれば、
地大(堅性) 保持作用「固体部分~骨・筋肉・内臓」
水大(湿潤性)摂取作用「液体部分」
火大(熱性) 成熟作用「発熱・消化」
風大(行動性)増長作用「呼吸・新陳代謝」
といったように理解する。
川田洋一『仏法と医学』
身体の病は四大不調からなり、それを調えることが大切である。
つまりは四大が調和せず、欠けたり、乱れると病気になってしまうのである。
更にはまた四大不調の原因を「坐禅不調、飲食不節、鬼神の便り」に分けて理解するのだが、
呼吸、生活習慣の乱れ、口から食べることや、意識・精神の充足、欠損などを考えるが、
詳しくはまたの機会に譲りたい。
【鬼神】とは何か。
亡くなることを鬼籍(きせき)に入ると言うように、鬼(おに)とは死者の霊魂を指すものである。
つまりは死者や餓鬼、魔の障りなどを言う。
普通に考えれば先祖や親しい者が祟(たた)るわけがない。
しかし死後に霊魂が暗闇に堕ち迷っている場合、それは水に沈んで苦しむような状態である。溺れている者がとっさに流木を掴むように生者に頼ることもあるのである。
また現代医学に沿って鬼の見えない作用のことを細菌やウィルスなどの病原体ではないだろうかとする考えもあるが、ウィルスが生命体であるならば鬼神の分類に入れるのは相応しくないだろう。
【業】とは。
過去に積んだ原因、行為の集まりのことであると理解しよう。善も悪も業である。
過去世より流転(るてん)、輪廻する魂(アラヤ識)が保持してきたものが、ある時に発動して病気を起こすのである。これは原因に対する結果であるのだから避けようがない。
例えば生命が、生まれた原因により、その瞬間に死の縁(えん)を得るようなものである。
よって過去の罪業を懺悔し浄化すること。同時にこの瞬間が未来の結果を作る種まきになるのだと知り、いま善い行いをすることが大切だ。
だが兎にも角にも病気を治したいと願うのが人間の性である。
業の由縁ならば、業と根本原因(無明)が浄化されるよう懺悔したり、祈祷してもらうべきであるし、
鬼病ならば供養が有効になってくるだろう。
ちょうど今日は土用の丑「胡瓜封じの祈祷」だ。
当寺では薬師如来の慈悲と智慧の力をいただき、医者には診て貰えない部分の病気の原因を照らし、浄化しようというのである。
輪廻し、生命は生まれ変わることが分かれば、こういった祈祷や供養の有効性が自ずと理解できてくるし、功徳を積むことや、悪い行いをしないこと、身に染みてその重要性が分かるようになる。
疫病はどうか。
世の中、人々(衆生)の心が乱れる時、大切なことを忘れ、見失った時に起きる。
飢饉も戦争も天変地異も同様であると経典は説く。
だから私たち人間はいつも、まず自分を見つめ直すことが大切である。
怖がることが重要ではなく、何をするべきなのかを考えることが重要だ。
すべては皆平等に尊い命であると知り、すべての命が佛さまに護られますようにと祈るのが善い。
口で、心で、奪い、責めて悪業を積んではいけない。
令和二年七月二十一日
《行事案内》
25日(土)「弁才天 護摩」 20時
8月 2日(日)「水子供養・地蔵護摩」10時
3日(月)「毘沙門天」 朝5時半
19日(水)「三宝荒神供」20時
21日(金)「お大師さま御縁日」 20時~
写経奉納。お護摩。護摩木。先祖供養。
※例年のお盆の送火、ご供養の「万灯会」を行いません。
・ただしお盆期間中、ご自宅で灯明供養をしたいと望まれる方には灯籠の貸し出し、用紙を準備いたしますので、どうぞ仰ってください。
~おしらせ~
※ 弘元寺からの「お盆参り」を希望の方は、お早めに申し込みください。
※「い草の苗わけ」お手伝いくださる方を募集。
日時:8月23日(日)朝9時~
場所:弘元寺の本堂前
【3~5日前後】
・農作業の経験者、手の器用な方、ありがたいです。
・地域、日本の伝統産業を護るお手伝いとなります。