法話

私が作る境界線、無くしてみる勇気を持つ

 「私が作る境界線、無くしてみる勇気を持つ。」

 最近「唯識(ゆいしき)」や「維摩経(ゆいまきょう)」がテレビで放送されることから色んな反応を得ます。

心やさとりについての質問、座禅瞑想がしたい、
仏教に否定的な考えだったが、お経に書かれていることは生きていくなかで役に立つ智恵のように思えた、仏教に興味を持ちましたなど皆様々です。

情報化社会といわれる中で近年ジワジワと感じることは、情報として知るだけでなく、実際にやってみたい、習ってみたい、仏教の本質を知りたいと言う声が増えたことです。
是非、弘元寺で瞑想の実践やお勉強会をやっていきましょう。
向上心に燃えるというのは良いことです。そのまま煩悩も燃やしていきましょう。今日の護摩のように!

 さて、向上心とは別に、
 「もとめてやまない」ことを欲望のままと言う。
 「むさぼる」ことを貪欲と言う。

この言葉だけを眺め、人間を想像すると、、、ちょっと恐ろしい。
でも私たち人間はみんなそうなのです。求めて止まないし、何かを引き留める「自制心」というものもどれだけ強いでしょうか。
信仰によって信念を持っている者はまだ強いといいます。しかし人間は皆、求めて止まない生きもののようです。 

しかーし、「ちょっと待って」と一呼吸すること。これが仏教徒の大切にすべきことでしょう。
ハッと我に返る瞬間を持つこと。ニュートラル(中道)を持つことです。

私はなんでこんなに求めて止まない状態になってしまうんだろう・・・と考えることは次のステップで行いましょう。悪いなと思う所はね、直さないとダメですよ!
いつまでも同じではいけません。あの世まで持っていかないようにです。

 時折といいますか、よくある悪循環パターンなのですが、「自分を理解してあげましょう」と言うと自分の悪いところばかりが心に留まって、真面目に見つめれば見つめるほど自分が嫌になってきてしまう人がいます。
一言でいえば「執着」なんですが、人間は感情というものがありますから、そうですね、周りに傷付いている方があれば、正論を論ずるよりも、まずその方の感情に目を向けてさしあげましょう。

 「自分を知る」にも世間には色んな方法、また段階があるわけで、ただ仏教では「無我」とい言葉があるように、固定化された実体などこの世には存在しないと説明します。
ふつうに考えれば、人には成長の段階があり、子供の自我の芽生えとか、対社会に対して自己の確立が行われていくなどと学校でも教えられるわけですが、仏教は逆をやってしまいます。だってそれは有るような、無いような、曖昧なものでしょう?
あなたが今見ている世界も、感情の揺れも、あなたの心の世界が作り出しているものでしょう?って言うわけです。
良いと悪いの境界線も、好きと嫌いの境界線も、あなたが今日まで生きてきた中のどこかで作ったものです。その境界線は本当にあなたを今しあわせにしていますか?とお釈迦さまは投げかけています。

 仏教の瞑想も色々ありますが、ひとつには坐禅というものをやるなかで、あなた、わたし、男、女、好き、嫌い・・・、二元化されたもの、分別をやめていきます。つまり自分を知るなかで、自分の勝手な思い込みを手放していきます。私たちはいつも何かと比べたり、分けたりして、よく自分も他人も傷つけています。これは悲しいことです。

 欲しい、欲しい、欲しい。足らない、足らない、足らない。

こういった人間の心の隙間を魔はねらっています。具体的には反省、感謝、恩返しのできない人間となってしまった時、そのポカンと空いた穴をめがけて魔は襲って来ます。

 自分がいったい何を求めているのかも分からない状態の方にもよく出会いますが、多くは不必要な情報に埋もれてしまっていて、心の奥底にある大切な宝物が完全に埋もれてしまっているのです。愛情に枯れてしまっている方はまた別の処方箋が必要ですが、手放し、手放し、手放し、手放した所に見えてくるものは必ず大切なものです。

 仏教における一番丁寧な礼拝の方法である「五体投地」はとっても良いものです。
是非行いましょう。まずは尊いものに対して手を合わせられる習慣を身に付けましょう。

  日切大師弘元寺 平成廿九年六月廿一日

《 来月までのお祈り》
6月24日 地蔵護摩 10時 感謝の護摩
7月 2日 滝修行  早朝 
水子地蔵 10時 水子・諸霊供養・護摩
 3日 毘沙門天 20時 願望成就・智恵・繁栄
 16日 霊峰石鎚山の修行 ※要申込
生まれ変わりのお山修行。費用は九千円程。
子供は半額。詳細は別紙に。日帰りです。
 17日 弁才天護摩 20時 願望成就・良縁
  21日 大師縁日の護摩 20時 写経奉納・月参り日
24日 地蔵護摩 10時 感謝の護摩
    三宝荒神 20時  家内安全・無事
25日 キュウリ封じ(胡瓜加持) 10時 夏の土用丑
一年間の身体健全・病気平癒。 申込方法などの詳細は別紙に。家族全員でどうぞ。

《 宥善(97才)のひとこと 》

・「ああしたら損、こうしたら損」と何でも損得だけで行動しとるけぇいけんのじゃ。
(損得だけで行動するからダメになるのである)。

・「ようもようも知らんというのはおそろしいもんよのぉ。」
(なんとまぁ何も考えずに生きている。大切なことを知ろうともせずに生きている。 ほれ、普通知っていれば出来ぬことも、知らぬ者は平然と行っているだろう。恐ろしいことだ。)

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