法話

お香の薫りが染み入るように

  香を持てば おのずから
  その香気にそまる (お大師さまの言葉)

 お大師さまの放たれる言葉は常に確信あるもののように感じられます。言葉にごまかしがありません。これはとっても大切なことです。しかし、なかなかそのようにいかないのが私たちです。
口では言ってても心では思っていない。口で言い心で思っていても行動がともなっていない。
常に私たちは心と身体と言葉がともなっていない…。ずっとこのような事ではいけませんよね。

 身体(身(しん))、言葉(口(く))、心(意(い))の3つがそろうこと、これが大切ですと何度も教わった方も多いでしょう。また、
「身(しん)・口(く)・意(い) を大日如来、仏さま、お大師さまとバチッと同じようにするんで!」
大先生の口からこのようによく聞きます。

 しかし、そもそも私たちはこの本当の意味を分かっていたのでしょうか。普段思っていることと、口に出す言葉、やっている行動がバラバラの私たち。まずは自分の言葉と行動がバチッとそろうようになる。そういう努力をするところからです。

ですから、そんな私たちには 仏さまや お大師さまと 身口意をバチッと一緒にすることなんてできる訳がありません。そう思うわけです。しかしそれも実際には間違いで自分の偏見、自分の魂の本当の輝き、凄さを知らない者が言うことなのです。

例えばこのように考え、イメージをしてください。
 わたしの体はすべての命、虚空・無限の時間と、仏(例えば宇宙)と共にいかされています。
その私の口から出る言葉は仏の言葉のようにきよらかです。
きよらかな仏の言葉をつかう私の言葉(振動)は満遍なく宇宙に響き、宇宙も私もすべてをじわり、じわり、と動かしています。

 何度も読んで味わっていただきたいのですが、この要点は
《つながっていること》で、それもとびっきり《よいもの》と《つながっている》ことなんです。
深まると、一体になっていきます。

自分の世界で生きている限りは自分なんてものは変わりませんし、自分を悪者・弱虫としている間なんて、自分が変わるわけもありません。他人が自分を変えてくれるか。無理なんです。自分なんです。肝心なのは自分の心なんですね。自分で意識をする。強く意識をしていくことが大事なんです。
それもとびっきりよいものを意識して、よい変化・成長を望んでいくしかないんです。
でも一人で変わるなんてのも違います。この世のすべては影響を与えあっていますから。
文字制限の関係でちょっと急ぎますが、
「香を持てば・・・」のお大師さまの言葉のように、まずは《自分から》良い香りを立てることが大切。
そういう場所に足を運ぶのも大切。そうすればおのずとそのように染まっていく・・・。
つまり良いように変われないのは自分から悪臭を放っているからです。
思うように変われないのは実際にはそもそも香さえも立てていないからです。

 いい香りを立てましょう。
香の薫りに染まるように、仏さまを祈ること、それは即ち仏の善きに染まることになります。

【 万灯会の写真 8/21 】

【 お線香について 】
・高価でなくても良いので 出来るだけ 天然素材の線香を使いましょう。
 上等の薫りは如来を、悪気の薫りは鬼人しか呼びません。
 特に、薫り・煙りの少ない線香は化学物質が多く体に悪いものが多い傾向です。
 身心によい薫りを使いましょう。

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