法話

訴えかけるちから~言い方、心が変われば、伝わりかたも大きく変わる~

 『アナと雪の女王』の主題歌で、今とっても注目を集めている「Let it go」。

松たか子さんの心に訴えかける歌が私の最近のお気に入りです。
また、アンジェラ・アキさんの歌う「手紙~拝啓十五の君へ~」のミュージックビデオもお気に入りの一つ。
このビデオは2種類用意されてあって、同じ曲なのにまったく違った印象を与えます。

  叶った夢。叶ってない夢。
  みんな、まだ、夢の途中。
  ・・・
 というプロローグ(前置き)から始まり、さまざまな職業の人々が自分の思いを綴る。

  信じ続ければ必ず出口がある。

 みんなそれぞれ今日を生きている、頑張っている。
その映像と音楽を観ていると、自分も、今日の私の夢を、また昔みた夢をどのようにして叶えようか…と、
不思議と気持ちを前向きにさせてくれる。それが一つ目のミュージックビデオです。

 またもう一つは、アンジェラアキさんが、
十五歳になる中学生たちの前でピアノの弾き語りをしているものです。
これが不思議。さっきは今の自分を見つめ、私も頑張ろう!とさせるのですが、
中学生の子どもたちが歌を聴きながら涙を流すこの曲は
私にまったく違う感情を引き起こさせます。

なぜでしょう。
同じ歌、同じ歌詞なのに違うのです。
十五歳の子どもたちへ向けた歌はエール(応援)の歌。
大丈夫なんだよ。きっと大丈夫なんだよ、と言っているようです。
歌う人の気持ち、言葉を綴る人の心。
それが少し違うだけで、聴き手の印象、曲の印象も大きく変わっていきます。

 松たか子さんの歌も、
おなじく、素直な、自分のこころを解放するかのような響きで、
聴いている私たちの心を一緒に自由にさせてくれるようです。
なぜ世界中の多くの人がこの曲に感動するのか。
専門家は、
「この曲は、いわゆる感動コードという音階が並んでいて、自然と感情が、心から、感動するような仕組みのものになっているのです。」と説明します。

すごいコードがあるものですね。
でもそれだけではなくて、私は言葉の力もあると思うのです。
日本語の歌詞はこのようになっています。

  ありのままの 姿見せるのよ
  ありのままの 自分になるの
  何も怖くない 風よ吹け
  少しも寒くないわ

 ところで英語の歌詞を見ていると大分意訳されているのが分かります。

「ありのままの」の部分が「Let it go, let it go」ですね。
let it goを直訳すれば、
「あきらめよう、ほっておけ」などの意味で、
小さな悩みごとではなく、大きな悩みや、いつまでも怒りのおさまらないような 出来事に対して使う言葉です。
だから日常会話の中で使うとすれば、
Let it goは、
「もう忘れたほうがいいよ、あきらめようよ、
どうでもいいじゃないか、手放そうよ!」というような感じで使います。

それが映画の中、姉のアナになってみると、
不安や心配を抱え、精神的にも日常生活においても さまざまに縛り付けていた自分から、
「解き放たれましょう。ありのままの自分。
自由になりましょう。ありのままの姿に解放されましょう。」というような意味で使われます。
身も心も、自由になるんだ!という決心にも似た歌になっています。

 ここで自分はやはりお坊さんだなと思うのが、
これはまさしく
「さまざまな悩みから解放される
 《さとりの境地/解脱》に向かうのと一緒だな」とすぐに思ってしまう訳です。

手放していきましょう。ちっぽけな悩み、怒り。
一切合切を手放す勇気、それを持ちましょう。

言葉に出して、歌にして、真言にして、
みんな必ず、変わっていけるものです。

 お寺の法話プリントには書いていないのですが、
どうやら姉のアナは、もともとは悪役として設定されていたそうなのですが、
Let it goの 歌の完成と、製作途中その影響によって悪役ではなくなったそうです。
歌、言葉のちからはすごいものですね!

今日はこの辺で・・・

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